機構長あいさつ

 弘前大学は、原子力関連施設を擁する地域的な背景を踏まえ、東日本大震災前の平成20年度から、被ばく医療体制の整備及び被ばく医療に関わる教育・研究ならびに人材育成に取組み、これまで多くの成果をあげてきました。震災後の原発事故対応では避難所での支援活動や様々な学術調査などが多くの貢献につながり、こうした被ばく医療への取組は弘前大学の意欲的かつ特色ある取組みの1つとなっております。これまでに培われた人的、組織的及び学術的資源をもとに、平成27年8月に原子力規制委員会から原子力災害に対応する施設として「高度被ばく医療支援センター」及び「原子力災害医療・総合支援センター」の指定を受けるに至っております。この指定にあわせ弘前大学放射線安全機構の下に「放射線安全総合支援センター」を設置し、両センターの学内での活動体制を組織化しました。また、本学の第3期中期計画・目標期間(平成28年~令和3年度)においても、「放射線科学及び被ばく医療における安心・安全を確保するための国際的な教育研究の推進」事業を、本学の基盤強化促進事業の1つとして重点的に取組んで参りました。さらには、東日本大震災後の平成21年9月に福島県浪江町と連携協定を締結し、学内に組織された学部横断的な「浪江町復興支援事業」及び「浪江町住民に対するリスクコミュニケーション事業(環境省)」にも継続して取組んでおります。こうした様々な弘前大学における被ばく医療に関する各種事業について、分野・組織を超えた連携を組織的かつ戦略的に推進する目的で令和元年10月1日に被ばく医療連携推進機構は設置されました。

 令和4年度からは、機構内に「災害・被ばく医療教育センター」を設置し、専任教員を配置して複雑化する被ばく医療分野で活躍する、より多彩な人材育成に取組む計画です。

 今後も、被ばく医療に関わる様々な活動を、国内外機関と相互連携を図りつつ、国の原子力災害医療体制の一翼を担うと共に、弘前大学の教育・研究のさらなる発展に貢献して参ります。

 

被ばく医療連携推進機構長

 

被ばく医療連携推進機構の概要

 被ばく医療連携推進機構は、本学の被ばく医療に関する各種事業を分野・組織を超えた連携を組織的,かつ,戦略的に推進することを目的として令和元年10月に設置されました。

 本機構は,放射線安全総合支援センター及び災害・被ばく医療教育センター並びに社会連携部門(浪江町・環境省事業担当)及び国際連携部門(グローバル連携事業担当)の2センター2部門から構成されています。さらに,被ばく医療総合研究所,医学研究科,保健学研究科,医学部附属病院,理工学研究科,農学生命科学部との連携により,多様な活動を展開しています。

 放射線安全総合支援センターは,原子力規制委員会から指定を受けた「高度被ばく医療支援センター」及び「原子力災害医療・総合支援センター」の活動が主たる取り組みです。また,災害・被ばく医療教育センターは,「複合災害に対応する被ばく医療人材育成事業」の活動が主な取り組みです。

 2部門の活動は,令和4年度からの第4期中期目標・中期計画における自治体・企業等との連携強化により,福島県浪江町等の復興支援や地域社会の課題解決への貢献や,放射線関連の教育・研究センターを活用し,世界で活躍できる多様な人材育成などが主たる取り組みです。また,関連する学術活動の情報発信を目的とした英文学術誌「Radiation Environment and Medicine」(弘前大学出版会)の刊行にも取り組んでいます。

 

弘前大学における被ばく医療体制

 

SDGsに関する取り組み

SDGsポスター

 持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。被ばく医療連携推進機構では、教育および研究活動においてSDGs達成を目標とした取り組みを推進していきます。