浪江町民の皆様が集まる場「あっぷるサロン」を開催しました。 令和2年度テーマ①「楽しんで学ぶ放射線企画」

弘前大学は、環境省事業の一環として、「あっぷるサロン」を浪江町内で開催しています。令和2年度は、「楽しんで学ぶ放射線企画」「健康維持増進企画」「参加者で創りあげる企画」の大テーマに沿った内容を企画しました。テーマ別にご紹介いたします。

 

― 楽 し ん で 学 ぶ 放 射 線 企 画 ―

【高瀬川や子どもたちが通う学校の近くをゆっくりと散歩しませんか】

新型コロナウイルス感染症対策を講じつつ、町民同士の交流や気分転換のため、川や学校周辺の散歩をしました。参加者に空間線量計を携帯してもらい、散歩をしながら参加者自身が屋内外の空間線量率を測定、測定結果をもとに年間外部被ばく線量を算出しました。算出結果について、弘前大学の放射線技術科学領域特任助教が解説し、参加者の理解促進につなげました。参加者からは、「理解できる内容で多くの人にすすめたい」「久しぶりに皆さんの顔が見れて良かった」などの感想がありました。

年間外部被ばく線量を計算している様子

空間線量を測定しながら散歩をしている様子

 

【トリチウムについて―その基本を学習しましょう―/目で見て学ぶトリチウムのこと】

町民の方から、「最近のニュース番組で、福島第一原子力電所から排出されるトリチウム水について取り上げられ、県内の議会でも処理方法について議論されている。トリチウムについて町民が学べるよう、あっぷるサロンの企画で取り上げてもらえないか」という要望がありました。

弘前大学の被ばく医療総合研究所放射化学・生態影響評価部門教授が、トリチウムの基礎知識についてスライドで示しながら説明しました。その後に、弘前大学の放射線技術科学領域特任助教が、BB弾や蛍光塗料を用いてトリチウムと水の違いについて、また、水や食紅を用いて処理水のタンクにみたて、視覚的・触覚的にトリチウムの理解へとつなげました。参加者からは、「難しい問題だが、これからどう向き合っていこうか考える機会となった」「実験がありわかりやすかった。汚染タンクを再現したモデル実験をみて、非常にイメージしやすくわかりやすかった」などの意見がありました。

今回の内容は、浪江町役場企画財政課が作成しているYouTube動画なみえチャンネルにおいて公開されています。

トリチウムについて学習しましょう!あっぷるサロン開催【なみえチャンネル248回】

https://www.youtube.com/watch?v=uSMq3eC8ngY

学習会の様子

トリチウムの性質に関する実験の様子

 

【AR-拡張現実-を使って観察!放射性物質から身を守るためにはどのくらいの距離をとればいいの?】

弘前大学の放射線技術科学領域特任助教が、放射線の広がりを現実空間に模擬的に可視化する新規開発AR放射線教材を用いた学習会を実施しました。放射線の線種ごとに飛程距離が異なること、距離を確保することにより放射線強度が弱まること、遮蔽効果について、イメージしやすい視覚教材を示しました。事後アンケートから、参加者の方々は放射線の種類ごとに飛ぶ距離が違うこと、放射線の遮蔽効果について、距離がはなれることで劇的に放射線が減弱することをイメージできるようになったことが伺えました。

放射線の飛程距離や遮断効果をARで視覚的に学習

 

サロンでは主となる企画と併せて、浪江町で貸し出している個人線量計(D-シャトル)の結果の読み取りや放射線の専門家が対応する放射線相談等を行っています。

本活動は環境省再委託事業「リスクコミュニケーションに係る拠点の活動支援」として弘前大学が実施しています。